『東京卍リベンジャーズ』(1~31)(完)
東京卍リベンジャーズ(31) (講談社コミックス)
東リベ完読……!!
ここからは全巻読破後の感想です。
アニメ派、映画派等ネタバレ厳禁の方はスルーをお願いします。
あとかなり辛辣な意見を述べていますので、そういったネガティブな内容が苦手な方も回れ右してくださいね。
***
私は東リベはアニメから入りました。
1期終わって全巻大人買いしてそこからの読者です。
アニメ1期と実写映画はむちゃくちゃ面白かったし、
今やっている2期の辺りも面白いのですが、正直言って私的に最終章は蛇足でした。
希咲撃破まではテンポもいいしどんどん物語に引き込まれていきましたが、
あの最後辺りのノロノロ感は何だったんでしょうか。
1期1クール目や映画で描かれた部分ってたったの4巻分なんですよね。なのにあの密度。
そのスピード感が東リベの魅力のひとつだと感じていたので、最終章の間延び具合には正直辟易していました。
そしてさらにトドメを刺すかのようなドラケンの死。
最推しキャラってことも大きいですが、もともと蛇足だと感じていた最終章での彼の死が、
訳のわからん犬死とも思えるようなものだったことで、私の作品に対する熱は一気に冷めてしまいました。
だけどもうゴールは見え始めていたし、キャラクターたちに対する気持ちがなくなった訳ではなかったので、
ここまで来たら最後まで付き合おうと新刊は都度購入し、やっと迎えた最終巻。
これで冷めた熱が再び戻ることにも多少期待していたのですが……ううむ、どうしてこうなった……。
タイトル回収についての和久井先生のインタビューを読む限り、
最終章そのものは引き伸ばしではなく既定路線だったのかなとは思います。
でもそうだとしたら描き方が雑いというか正直下手です。
タケミっちがリープを繰り返していたのはヒナを助けるためであって、マイキーのためではなかったはず。
そして前者は希咲の撃破によって成され、
一旦はハッピー(というよりビターですが)エンドを迎えそうになったところでいきなりの目的変更。
読者からしたら「は?」ですよ。
置いてけぼり感がひどすぎて引き伸ばしって取られてもおかしくない。
マイキー救出が最終目的として構想にあったのなら、
ヒナのことに絡めもう少しわかりやすくマイキーのことにも触れておくべきだったと思います。
途中何度も出て来ていた闇堕ちマイキーそのものが、最終章のための布石や伏線のつもりだったのでしょうが、
闇堕ちの回避はあくまでヒナを助けるための手段としての描かれ方しかして来なかったため、
読者にはエンド直前に急に目的がすり替えられたかのような印象に映ってしまいます。
最終章を描く上で段階的にでも、
「ヒナもマイキーも」もしくは「ヒナよりマイキー」をもっとはっきりと明示しておく必要があり、
それを上手く達成出来ていなかったがためにどうしても引き伸ばし感、蛇足感が拭えなくなっているんです。
そのせいでせっかく名作になりそうな良作品だったのに、
ラストに進むにつれ尻すぼみな印象になってしまい、本当にもったいないと感じます。
最終巻の大ハッピーエンドの読後感そのものはよかったです。だってハッピーエンドだから。
この取ってつけたようなハッピーエンドは、
「どうすればいいかわからないけどみんなが助かる方法を模索する(意訳)」
とタケミっちが宣言した時点で予想は出来たしこうなるしかなかったんだけど、
でもなんかコレじゃない感がすごかった。
多分これも見せ方の問題が大きいと思います。
小1に戻ってマイキーと二人でリベンジするのはタイトル回収的によし、
この際イミフなタイムリープの謎もどうでもよし。
だけどラストが駆け足すぎて、最後のリベンジのカタルシスがまったく感じられなかったのが大きな問題。
今までのあれこれをもう一度丁寧に描いても、
それはそれである意味同じことの繰り返しで冗長だっただろうと思うし、
リベンジをダイジェストにしたことそのものはいいと思います。
その上で例えば、子供時代にリープしたタケミっちとマイキーが「これから二人でリベンジしていくぞ!」
と決意を固める描写に1話を割いて丁寧に描くことで読者の感情移入を促せば、
最後がたとえダイジェストであっても、そこがぐっと深みを増したものに変わり、
もっと違った印象になったんじゃないでしょうか。
そして最終回を1話丸々使って、みんなが今何してるかって説明したのがもうほんとにいらない。
オタクな見方をすればそういうことがわかるのは嬉しいけれど、
純粋な作品としての質やまとまりを考えるなら、みんなが生存して笑ってることを絵で見せるだけで十分だった。
それよりも他にもっと描くべき大事なことがあっただろって感じ。
とにかく最後の畳み方が鬼下手すぎて名作が駄作になっちゃった感満載でした。
張られた伏線の回収やらなんやらよりも、そもそもハッピーエンドの読後感のよさ以外の何も得られなかった、
感じられなかったことがすごくもったいなくて残念としか言いようがないです。
伏線回収については巷で色々言われているみたいですが、
「そんなとこ伏線でも何でもねーだろ」みたいなとこも挙げられていたりして、
これについては和久井先生に少し同情しています。
老害の戯言かもしれんけど、何もかも伏線ガー、回収ガーって
今どきの若い子は一から十まで説明してもらわんとわからんの?
「そこは妄想する楽しみでいいんじゃね?」「自分で想像出来るんじゃね?」ってとこに食いついてきたり、
何でもないような部分に意味を求めたりしているのを見ると、
こんだけ物が溢れて情報過多になったことが逆に弊害を生んでるんじゃないかって心配になります。
もっと素直に創作物を受け止める大きな心をもったほうが、気持ちも楽だし楽しめるよ。
昔の漫画なんて本当にめっちゃくちゃだし、でもそれでも面白い作品は沢山あった。
完成度の高い高尚な作品はもちろんすごいけれど、結局は漫画なんだし基本はむちゃくちゃでもいいと思う。
読んでいて面白いと感じられればそれでいいんだよ。
東リベは途中までは本当に面白かったし、
最後がどうであれその時間を与えてもらったことに私はとても感謝しています。
ただそんな私でもいきなり何の前触れもなく付加されて、ラストまで一切の説明がなかった
タケミっちの未来視だけは、さすがに「おいおーい!!」ってなりましたけど(笑)
色々ネガティブな感想を述べましたが、東リベは(途中までは)ストーリーが抜群に面白かったし、
キャラもみんな魅力的ですごく楽しませてもらいました。
トータル的な判断で私の殿堂入り作品にはなりませんでしたが、
アニメも実写映画もまだまだ面白いところが続くのでこのまま追いかけていきたいと思います。
そして原画展またこっちにも来てねー。
描かれなかった最後の戦い、ぜひこの目で生原を見届けたいです。
最後に余談ですが、「東卍メンバーのハッピーな後日談」ってのに惹かれて
同日発売のキャラ名鑑をついつい買ってしまったところ、
なんとここにタケミっちの現在の職業が(文章で)書かれていました!
今は映画監督を目指して助監督をやっているそうです!
最終話を読んで「タケミっち今何やってるねん……まさかまたフリーターじゃないよね(汗)」
と思われていた方、よかったですね!\(^o^)/
あと他に意外で面白かったのが、犬猿の仲だったぺーやんと安田さん(手芸部の副部長)が結婚したこと、
ドラエマの部屋の下の階にタケミっち夫妻が住んでることかな。
しょっちゅう会っているらしく、今日も4人で鍋するって書かれててほんわかなりました(*´꒳`*)
希咲死亡で終わっていたらお話としてはまとまりがあったし、ビターな感じも余韻があってよかったけど、
そこで終わるとエマが死んだままだったので、ドラエマ推し的観点としては大ハッピーエンドはありです。
とにかくタケミっちよりヒナよりマイキーより、
リープ当初から死んでたり死刑囚だったりと、不幸続きだったドラケンが幸せになってくれたことは素直に嬉しい。
たとえ女子人気が低かろうが私はこれからもずっとドラケン推しです♡
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